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執筆者の写真ファンクラブ 林則行さん

第92回 金が1万円になりました。現金に換えた方がいいですか?

質問:

田中貴金属の店頭小売価格が1グラム当たり1万円を超えました。林さんの『金はこれから2倍になる』を読んでゴールドを買ってよかったと思っています。本当に2倍になりました。ゴールドを現金に換えて、新車の購入や家の修繕に使おうと思うのですが、どうでしょうか?


回答:

とてもいい考えだと思います。

お金は有効に使って初めて価値が出るものです。必要な方は現金に換えて使うのは素晴らしいことだと思います。その一方で、現金が当面必要でない方はそのままゴールド投資を続けてください。これからさらに2倍になります。



解説:

予測は正しかったが、大きな間違いがあった


ぼくは2015年初に、『金はこれから2倍になる』(宝島社)を出版しました。「ゴールド価格はこれから2倍になるので、ゴールドを買いましょう」と述べました。その後数多くの講演会に招かれ、その席でもゴールドを薦めました。


ゴールド価格は2014年末4649円でした。この価格は税抜きですから、税込みでは10%増の5114円になります。今年8月31日、税込み価格が10,100円となり、上昇率は97%になりました。


著述業をやっている人間なら誰でもこの重圧を感じていることと思いますが、自分ではゴールド価格が2倍になると確信していたものの、実際に予測し、発表したことが現実になる日を迎えました。これで皆さんに胸を張って顔向けできるようになりました。


ところが、『金はこれから2倍になる』には大きな誤りがありました。当時のぼくはこう考えていたのです。


米国はリーマンショックを抜け出すのに、マネーをじゃんじゃん刷っている。従来、経済規模(GCP)の60%に過ぎないマネーが、ここ数年で100%に達してしまった。これはあまりにやり過ぎだ。近いうちに、株の暴落という形でしっぺ返しを受けるだろう。


このような推察のもと、「人々は希薄になったマネーを嫌い、ゴールドに向かうだろう。価格は2倍になるだろう。」と考えたのです。


ぼくは半分しか正しくありませんでした。マネーの希薄化は現時点でも、経済上の大きな問題にはなっていないからです。それどころか、その後コロナのパンデミックが起こり、米国はコロナ不況からの脱出にマネーをさらに大増刷しました。一時は経済規模の135%にまで達しました。


10年程度の間に、マネーが経済の2倍以上の量になってしまったのです。つまり、マネーの価値が半分以下になったということです。


ゴールド価格予測を2万円に引き上げた理由


人々はマネーの希薄化には気づいています。それが主な理由で、ゴールド価格が2倍になったのです。しかし、希薄化の弊害については、まだ問題視していないようです。もしくは、目をつぶって見ないようにしているのかもしれません。


ぼくはこう推論しました。

永遠にマネー希薄化の弊害を認識しないでいることはできない。2009年からは不況は来ていない。だから株価も経済も順調に伸びてきたのだ。しかし、いつかは不況が来る。その際に、問題が一気に噴き出すことになるだろう。具体的には、債券が暴落し(インフレとなり)、株価は暴落する。『金はこれから2倍になる』の際に予測したようなマイルドな暴落では済まないだろう。戦後最大の金融危機が先進国全体を襲うだろう。


こうした考えのもと、ぼくはゴールド価格の予測を大きく引き上げることにしました。1オンスあたり7000ドル、1グラムあたり2万円です。この考えに沿って、新たに書き直したのが、『株の暴落サインを見抜く方法』(宝島社 2021年3月)、『世界が大不況でも資産を増やせるって本当ですか』(ダイヤモンド社、2022年6月)です。


ゴールドの上昇はこれからが本番です。ゴールド投資はぜひ続けてください。




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