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第80回 米国は長短金利が逆ザヤになっています。その最大の問題は何ですか?

  • 執筆者の写真: ファンクラブ 林則行さん
    ファンクラブ 林則行さん
  • 2023年6月10日
  • 読了時間: 2分

質問:

先週のWIZに次のような質問が来ました。

2年債と10年債は昨年3月ごろから金利の逆転現象が発生しています。

そうすると、銀行は儲けられなくなって

①赤字になる

②預金者は不安になりお金の引き出しをする

③銀行は預金者への支払いのため企業へお金を貸し渋る

④景気は悪化する

⑤銀行はいたるところで破綻する

⑥全世界で同じ現象が発生して、金融恐慌になる

といったイメージになるのでしょうか。


回答:

ご質問の方は長期的な正しい見方をしています。長短金利問題の中で一番大事なことをひとつ抜き出します。それは短期金利>長期金利という逆転現象が起きると、株価がピークを打ち、大きく下落することです。


定例発信(10月28日 第88回「金利が株価天井の到来を示唆している」)を掲載したのは、長短金利が逆転する直前でした。「近い将来、短期金利>長期金利となるので株価下落が誘発される」という趣旨でした。


それが迫っています。

図表1を見ると、長短期利差は現在はー1.8%にも達しています。つまり、短期金利(ここでは3か月金利)の方が長期金利(10年債金利)より1.8%も高いということです。



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逆転現象は2000年を株価ピークとするITバブル崩壊時(株価5割下落)でも2007年をピークとするリーマンショック時(6割下落)でも現れました。コロナ暴落時にも現れました。


こうした過去3回の逆転劇に比べて今回は問題が大きいです。なぜなら、図表1からわかるように、現在の逆転幅は過去3回に比べて大きいからです。長短金利差が大きいほど銀行に与えるダメージが大きいのが理由です。


実際に、銀行の貸し渋りが始まっていることが伺えます。図表2にあるように、マネー(M2)が前年比マイナスになっていることに現れています。前年比マイナスは過去40年間なかったことで、ITバブル崩壊時にもリーマンショック時にも起きませんでした。



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こうした統計はこれから起きることの大きさを示唆していると言えるでしょう。


なお、米国は金融面以外においても、景気悪化の兆しが見え始めています。具体的には小売り売上と失業率の悪化です。これについては、本日掲載の定例発信をご参照ください。


 
 
 

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