第185回 香港の賢い税制
- ファンクラブ 林則行さん
- 2 時間前
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相続税廃止で国力増大
日本政府は何とかして税収拡大を画策しています。「取れるところから取る(金持ちから取る)」がその根本の発想です。これが如何に馬鹿な方策なのか、政治家・役人はわかっていません。このことが如実にわかる実例を今日は紹介します。
それは香港の相続税廃止です。よく考えてみれば、人は死んだだけでその人の資産が取り上げられる理由は何なのか、明確な回答はありません。できるだけ取り上げたいから取るだけなのです。
日本において、相続税は日露戦争(1904年~05年)の戦費をまかなうために創設されました。「戦争のための一時的な措置」という触れ込みでしたが、今なお恒久税制として残っています。
2006年2月11日の廃止によって、香港ではどのようなことが起きたのか?
相続税無税化は、故人の国籍、居住地に関係なく適用されます。中国大陸に住む中国人たちは、「だったら、資産を香港に移そう」と思い始めました。また、諸外国の人たちも、「死ぬ前に香港に資産を移そう」と思ったのです。
その結果、香港では金融資産が大幅に増加しました。具体的には図表1です。銀行預金は2006年末までに467%も増加し、香港内における資産運用残高も36%増大しました。金額で言えば、資産運用残高は、2005年末の4526億香港ドル(8.3兆円)から、2006年末には6154億香港ドル(11.9兆円)にまで拡大しました。

これにより、金融ビジネスが盛んになり、香港政府への税収は大幅に上がりました。
お金持ちは、「どうやって資産を増やすか」よりも、「どうやったら、減らさないで済むか」を考えています。別の言い方をするならば、「どうしたら、税務当局の追及を逃れることができるか」です。
そのために、タックスヘイブンを使う、本人が海外に住む、経費の増大を図る、といった手段を用いて資産保全を図っているのです。
政治家や税務署職員は自分でお金儲けをしたことのない人たちです。大金持ちの人たちの考え方がわからない人たちです。お金は無税の場所に集まります。日本も相続税を廃止したり、投資に関する減税を実施したりすれば、日本へのお金の流入は過去にないほど大きなものになるでしょう。
イソップの『北風と太陽』と同じです。
北風が力いっぱい吹いて、旅人の外套を吹き飛ばそうとしますが、寒さを嫌った旅人が外套をしっかり押さえてしまい、北風は旅人の服を脱がせることができませんでした。
一方、太陽は燦燦と暖かな日差しを照りつけました。すると旅人は心地の良い暑さに、自分から外套を脱いだのです。
日本政府のやっていることは北風政策です。
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