質問:
ゴールド価格が史上最高値になっていますが、それを支える最大の要因は何でしょうか。それは長期的に続く要因なのでしょうか?
回答:
ゴールド価格を上昇に導く最大の要因は需給です。現在は供給不足で価格が上がっています。ゴールドは野菜と同じで、生産量が減れば価格が上がります。今後とも生産量が増えにくい構造的な理由があります。
構造的な理由とは、「鉱山会社は儲かりにくい体質」ということに尽きます。図1には世界最大の鉱山会社バリックゴールド社の株価とゴールド価格を記したものです。これを見ると、1997年初にゴールドの地金を買った場合、今日まで保有すれば5倍以上に値上がりしたのに対し、バリックゴールド社の株を買った場合は1倍未満になっています。この株価は配当も考慮したもので、配当を含めても投資リターンが損になっていたということです。
どうしてこのようなことになってしまっているのか。それは鉱山が儲かりにくい業種だからです。その理由は皆さんもすぐに思い当たるでしょう。鉱山はいわゆる、3Kの仕事です。3Kの意味は「キツい」「汚い」「危険」の頭文字3つです。労働者が集まりにくいので、賃金を高く設定しなくてはならず、また、最近の環境保護の世相に合わせて、環境対策にも力を入れなくてはなりません。そんなわけで、儲けが出にくいのです。
上の表を見てください2019年には年間を通じた金価格が1392ドルで、この年の会社の利益が一株当たり2.26ドルでした。2020年以降は金価格が1800ドル前後になっています。生産コストと生産数量が同じならば、1オンス当たり400ドル程度の利益増になっていないとおかしいはずですが、実際はそうなってはいません。2020年以降、利益は2019年に比べて減少しています。
このような、儲からない体質では当然のことながら新規投資に消極的になりがちです。図2を見ると、2013年には同社過去最大の損失を計上しているほか、2014年15年18年と大きな損失を出しています。同社はいまだにこの損失を埋めるだけの利益を計上出来ていません。これが鉱山会社の置かれている現状です。
まとめると、
➊鉱山会社は今後とも利益が伸びにくい
❷鉱山会社は新規投資に消極的⇒生産量が大きく増える見込みが少ない
となります。
これらのことから、私たち投資家はゴールド投資に積極的であるべきだという結論になります。当然のことながら、鉱山株への投資は控えましょう。
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