質問:
銀行が破たんした場合、銀行への借金は返さなくていいということにはなりませんか?
回答:
そうはいきません。約束は約束ですから、守らないといけません。返し続けないといけません。ただし、思わぬメリットがあります。預金との相殺ができることです。
まずは、破たん時のペイオフ(一般論)から説明しましょう。
破たん銀行に2500万円の普通預金があったとします。この銀行が破たんした時点で1000万円までが保護され、残りの1500万円は保護の対象外になります。というわけで、皆さんには預金は1000万円までにしておくようにお薦めしています。
さて、ここからがペイオフの例外事項です。
それは破たん銀行に借金がある場合です。仮に、2500万円の普通預金のほかに、3000万円の銀行からの借金があったとします。
この場合、預金者からの申し出により、借金、預金の相殺ができます。上記の例ならば、2500万円は相殺されるので、500万円の借金だけが残ります。この人はこの500万円だけの返済を続ければいいことになります。
仮に借金が3000万円、預金が3800万円の場合は、相殺後、預金額が800万円になります。この場合は総額が1000万円未満なので、800万円全額が保護(ペイオフ)の対象になります。
上の話には2つの「ただし」書きがあります。
第一に、申し出が必要だということです。相手先の銀行は破たん状態ですから、そうした申し出が簡単にはできないかもしれません。その間に政府が1000万円以上の預金を封鎖してしまうリスクがあります。相殺ができるのはある程度の期間が過ぎてからになってしまうかもしれません。
第二に、上で述べてきたことはすべて、政府がこれまで述べてきた通りに、1000万円が保護されることが前提です。全銀行が一斉に倒産した場合、預金保護機構には400万円しか保護できません。それが機構の資金量から可能な最大額です。400万円しかないなら、相殺は400万円の範囲でしか行われないでしょう。また、銀行に借金のない人の預金も1000万円ではなく、400万円までしか守られないことになってしまうでしょう。
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