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第56回 金融破たんがどうしてインフレにつながるのでしょうか?

  • 執筆者の写真: ファンクラブ 林則行さん
    ファンクラブ 林則行さん
  • 2022年12月23日
  • 読了時間: 5分

質問:今後、ハイパーインフレなどになることもあるのでしょうか?金融破綻とハイパーインフレの関係が良く分かりません。


回答:

金融恐慌がどのように悪化していくのか。これは順を追って具体的に考えていくとわかりやすいです。


まず、これから起きる金融恐慌は、国債がデフォルトすることになるでしょう。1997~1998年にかけて日本では多くの証券会社や銀行が破たんし、それを金融恐慌と呼びましたが、これからはその程度の穏便さで済むことはありません。


それでも、金融恐慌が起きた場合の一番軽微なケースからスタートしましょう。

国債のデフォルトはG7各国が同時に起こすでしょう。米国が土曜日になってから起こすでしょうから、日本時間では日曜日に発表になるでしょう


これを事前に察知することは難しいですが、デフォルトの前(数か月から1か月前)には、G7各国の首脳や中国、ロシアといった主要国の首脳が一堂に会する会議が緊急に開かれるでしょう。これはネット会議では済まないものと思われます。参加各国の意思統一を確実に図るためには、対面が不可欠です。


国債がデフォルトした場合、即日大手銀行、地方銀行のほとんどが破たんします。店舗は営業を停止します。ネットの取引も停止です。

混乱を避けるために、金融市場は1週間程度は取引停止になるでしょう。このため、破たんを免れたネット銀行も営業停止になるでしょう。



最良のケース

金融市場が停止中だった間に、公的資金が各破たん銀行に注入され、翌週からは営業が通常通り復活するケースです。この場合、1000万円超の預金は封鎖になりますが、それ未満は自由に引き出しができます。

この場合は、私たちの対策は預金は1000万円未満に分散するだけで十分です。(預金額の大きい方は決済性の預金に切り替えれば、1000万円以上でも保護されます。)


1000万円が減額になるケース

預金保険機構が1000万円まで保護するというのは、「一斉には多くの銀行が破たんしない」という前提で作られています。私たちが保険という言葉から最初に想像するのは、生命保険でしょう。生命保険会社が倒産しないのは、人間が一斉にたくさん死なないからです。


預金保険機構の資金規模は現時点で509兆円です。仮に、日本のすべての預金(機構が保護すべき預金)が破たん銀行に預けられていたとすると、預金保険機構の資金でカバーできるのは40%だけです。つまり、1000万円までは保護されるというのは架空の話に過ぎず、実際は400万円までしか保護されないことになります。


実際に、1000万円まで保護されるか400万円までなのか。それは公的資金が預金保険機構に入るか否かで決まります。

では、公的資金がすぐには入らないケースとはどのようなものなのか?


大きなインフレ(貨幣価値の下落)がはじまる

国債がデフォルトになるということは、国債の価値がゼロになるということです。貨幣の信用がなくなってしまうわけです。信用が低いものを人々は手にしたくはないですから、今までの価格では売ってくれなくなります。


これから起きる金融恐慌の中で、ここが一番未知数な個所です。インフレが軽微なもの(例:20%)であるのか、大幅なもの(50%)であるのか、劇的なもの(80%)なのかによって、政府の行動は変わります。


軽微なもので済んでいる場合、政府の行動は庶民の日常生活を取り戻すことが最優先になります。つ、まり、1週間前のデフォルト前に戻すことです。この際は、公的資金が全破たん銀行に十分に渡されるでしょう。預金保険機能にも同様です。


一方、インフレが大幅なものになってしまった場合、インフレ退治が最優先になるでしょう。公的資金を注入するといっても、それは新たな国債の発行に過ぎないので、人々は信用せずに、インフレは留まることがないばかりか、国債発行の話が火に油を注ぐ形になってしまうでしょう。この場合は、事態が収まるまでは公的資金の注入が簡単には行うことができないことになります。


事態が流動化する理由

日本人が日本のメディア報道だけを見ていれば、政府の指示通りに動く人が多いでしょう。それは日本人のコロナ対応に現れています。先進国でマスクをいまだにつけているのは日本くらいですから。


しかし、日本国内でも海外の映像を見ることになるでしょう。海外では政府の信用度が低いですから、民衆が自分のお金を引き下ろすために長蛇の列をつくり、場合によっては銀行員や警備当局と喧嘩を始めることもあるでしょう。そうした映像を日本人がどう受け止めるのか?


インフレで自分の資産がみるみるうちに減っていくのを指をくわえて見ている人は少ないでしょうから、日本でもある程度の混乱は予想されます。その混乱次第によってインフレの度合いも違ってきます。


預金引き出し制限の可能性

インフレ収束が政府の最優先事項になると、当局は預金の引きだし制限を始めます。1か月(1週間または1日)あたり50万円までといった寸法です。また、さらに事態が悪化すれば、新札が発行されるようになります。旧札から新札への変換は8割(つまり、20%の税金)といった施策が取られるでしょう。


では、現金を手元に置かずに銀行に預けておいた方がいいのか。その場合は、ある一定の割合で預金が税金として徴収されることになります。1000万円未満の預金者にも適用されるでしょう。


ただし、あまりに零細な預金額の口座については課税が免除になるかもしれません。それがどの程度で線引きなるかはわかりません。


政府は名寄せをする余裕はないと思います。名寄せとは、仮にある人が4行に500万円ずつ預けている場合、「この人の預金総額は2000万円だから、これを基に課税する」という処置です。名寄せがない状態ならば、1銀行あたり100万円で、20銀行に預金分散をした場合、課税額が少なくて済む(もしくは非課税になる)という寸法です。


この場合は預金分散が意味を持ちます。また、1日あたりの預金引き出し額が制限される場合も同様です。


ゴールドが最善

インフレが激しくなった場合は、銀行預金や手元現金は大きなダメージを行けます。ゴールド価格は急激に上がるでしょうから、こちらが有利な逃避先だと思われます。


 
 
 

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