質問:インドに国際金取引所ができると聞きました。日本人の私たちにとってゴールド取引に影響があるでしょうか?
回答:
インド西部グジャラート州の「グジャラート国際金融技術都市(GIFTシティー)」で7月29日、同国初の金(きん)の国際取引所の運営が始まりました。
短期的には、これは金価格へも日本人の私たちにも影響はありません。
繁華街にしかなかったスーパーマーケットが隣町にもできた話に似ています。スーパーの小売価格は店舗数が増えてもほぼ変わらないでしょう。取引所が増えれば、売り買いのできる場所が増えるので便利ですが、だからといって金値段が変わるわけではありません。
ただし、長期になると話がやや違ってきます。
米国をはじめとしたG7各国がデフォルトの道を選んだ場合、金の取引を禁止する可能性があります。金価格があまりに高騰してしまうと、相対的に通貨の価値が下がることになってしまいます。それを避けるために、何らかの口実を設けて金取引を停止しようとするかもしれません。
自由な商取引の禁止は法律違反ですが、「純金に混ざり物が見つかった。投資家を保護する観点から当面禁止する」といった見え透いた嘘を通すでしょう。
G7が金取引を停止しても、中国とインドでは金取引を停止することができません。なぜか?両国は伝統的にゴールドが大好きな国民だからです。別の言い方をするならば、政府が発行する通貨への信頼が低い国なのです。そのため、ゴールドでの蓄財を好みます。世界の宝飾需要の5割以上、地金投資の3割以上は両国のものです。この2国の政府が金取引を禁止したら、暴動が起きてしまいます。
そのインドで取引所ができ、地金取引が国際的に許されるようになった場合、日本政府が金取引を禁じても、インドで売ることができます。「自分はインドにはつてはない。そんな時にどうしたらいいかわからない」と心配する必要はありません。田中貴金属で売るよりもやや高めの手数料になるでしょうが、インドでの金売却を斡旋する業者が出てくるでしょう。金取引禁止は事実上のざる法になるでしょう。
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