第42回 不動産物件を早めに(安めに)処分して、ゴールドにするのはいい考えですか?(第35回に関する不動産専門家の見方)
- ファンクラブ 林則行さん
- 2022年9月23日
- 読了時間: 2分
第35回の回答に関して、第一線の専門家からアドレスを受けました。
質問(再掲)
不動産物件を所有しています。賃借人が物件を買いたいと言ってきたのですが、お金の工面がつかないらしく、「市場価格の3割安くらいではどうか」と言っています。
金額は小さくなりますが、ここで不動産物件を処分してゴールドに換えた方が投資効率は良くなるでしょうか?
不動産専門家の見方:
賃借人から「不動産を売却してほしい」との声がかかった場合は、普通の不動産売買と違う側面があります。
不動産の取引は金融資産と違い、個別の事情があるので一般論しか述べることができませんが、私はこうした場合、売却交渉を行うことを薦めるケースが多いです。
その理由は、日本の場合、借地借家法がネックだからです。この法律はとにかく借り手の保護が厚く、すんなり返してもらうのに苦労します。
この借り手が悪い人だという可能性があります。「お金の工面が苦しいから3割負けてほしい」というのが、この人の交渉の手口に過ぎないかもしれません。すなわち、こちらが、「3割安では困る。全額払ってほしい」と言い出すと、「では、売却交渉は中止するが、その場合は毎月の家賃を負けてほしい」と言い出すかもしれないということです。
そのうえ、「払うべきものは払うから、少し待ってほしい」などと言い出され、こちらは家賃収入が絶たれた上に、賃借人に居座られる。そういうケースがありえます。賃借人が果たして契約通りに返してくれるのか、最後までわかりません。
「お金の工面が苦しいから3割負けて」と言い出す人の中にはこのような不動産の流通の諸事情が詳しい人が少なくありません。良好な借り手なら、いきなり、「3割負けて」とは言いません。
ただし、売却交渉においては注意点があります。こちらが、「はい、売ります」と言うと、スタートが3割引なので、相手が欲を出して、「もっと値引いて」と言いかねません。
私(=専門家)が知っている取引では、契約まで時間がかかると、相手側との人間関係(借り手側の嫌らしい交渉スタイル)につらくなって、最終的には半値にしてしまうこともありました。株式などの金融取引の損失は「自分が失敗した」と思うだけで済むかもしれませんが、不動産の取引では心に傷をもたらしてしまうことになるので、このような結果を生んでしまうことになりかねないのです。
難しいところですが、賃借人への売却依頼に関しては前向きに進めることが得策な場合が多いように思います。
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