第34回 日本政府が個人所有のゴールドを没収するリスクはありますか?
- ファンクラブ 林則行さん
- 2022年8月27日
- 読了時間: 2分
質問:米国では1932~1933年頃にルーズベルト大統領により、金現物の没収がありました。 日本でもこの様なことは起こりえませんか?
回答
日本政府が個人所有のゴールドを没収するリスクはかなり低いでしょう。心配は要りません。国家が行うのはゴールドの没収ではなくて、資産の没収です。
国家は借金返済が不可能だと悟った時、(正確に言うと、借金返済が不可能だと金融市場から言い渡された時)、国債のデフォルトを発表します。これが即ち資産の没収です。通貨価値が暴落します。今まで銀行や保険会社、証券会社に蓄えてきた資産が没収されるのと同じことになってしまいます。
デフォルトの発表の瞬間に個人資産の没収は事実上完了します。通貨は信用を失い、国家の信用は地に落ちます。同時にゴールド価格が高騰します。
この時点で、国家が、「さあ、これからゴールドを没収するから、正直に申告してゴールドを差し出せ!」というお達しを出た場合、誰が従うのでしょうか?「俺たちは国家に騙されて、資産を取り上げられた。まだここから取り上げる気か」と謀反が起きてしまいます。
仮に、税務署が個人宅にやってきて、「お前がO月O日に田中貴金属で1キロのゴールドを買ったことはわかっている。提出せよ」と言ったとしましょう。税務署は私たちが「ある時点でゴールドを買った」という事実を知っているかもしれませんが、その後所有しているかどうかについての確信はありません。購入後誰かに譲渡したかもしれないし、帰り道で落としたかもしれません。
国家権力がやってきたら、「なくしました」と言えば済むことです。相手方が、「嘘だ。そんなことはありえない」と言い出した場合、それを証明するのは国家権力側の責任になります。
また、大口のゴールド保有者ならともかく、一般個人宅をいちいち回る余裕は政府にはないでしょう。政府はデフォルト後の通貨信用失墜をどう回復するかで精一杯のはずです。
「なくした。あるはずの場所にない。困った」と言っているうちに状況も変わっていくでしょう。ルーズベルトの金保有禁止令も実際の有効期間は1年程度でした。
なお、本当に国家権力が個人宅を家探しするような事態が起きた場合は、このサイトを通じて皆さんに最善の対策をお授けします。ご安心ください。
林先生 ! その時は宜しくお願いします !