第197回 ゴールドは秋が安い
- ファンクラブ 林則行さん
- 14 分前
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金価格には長年にわたり季節性が存在する
金は秋が安いです。具体的に言うと、10月から12月に価格が落ちやすいということです。これは、過去50年(1975年~2025年・図表1)にわたる平均価格、直近15年(2010年~2025年・図表2)の価格、直近8年(2017年~2025年・図表3)の価格を分析しても、同じような一貫したパターンが存在します。「長期統計」と「直近事例」の両方で一致することは、投資家にとって非常に重要な意味を持ちます。
たとえば2020年には夏場に2,070ドル台の史上最高値をつけた後、12月には1,800ドル台まで調整しました。2023年も8月に上昇した後、秋以降は伸び悩みました。
どうしてこのような動きになるのか。背景に金の需要サイクルがあるからです。



背景にある「ホリデー・シーズン需要」
アメリカや欧州においては11月の感謝祭から12月のクリスマスにかけて「ホリデー・シーズン」と呼ばれる一大商戦期があります。宝飾品や贈答用の金製品の販売が盛り上がるのはこの時期です。
この時期に販売しようとする場合、実際の生産や買い付けのピークは7〜9月です。つまり、金需要は夏に先取りされ、秋以降は一巡します。その結果、10月から12月にかけては価格が軟化しやすいのです。
さらにグローバルに視野を広げると、
インド:秋から冬にかけて結婚シーズンで金需要が急増
中国:春節前に金製品を贈る習慣があり、年明け以降に需要が集中
こうした地域ごとの需要パターンも、金価格の変動に影響を与えています。
長期・中期・直近すべてのデータで一致する「秋から冬にかけての軟化傾向」は、投資家にとって見逃せないサインです。特に長期保有を考えるなら、10〜12月は押し目買いのチャンスとなり得るでしょう。
投資の世界に「必勝パターン」は存在しませんが、歴史的なデータが示す一貫した傾向を活かすことは賢明です。季節性を意識した投資判断は、リスクを抑えつつリターンを狙うための有力な戦略だと言えるでしょう。
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