第196回 金の個人輸出入は合法か?
- ファンクラブ 林則行さん
- 10月2日
- 読了時間: 4分
輸出は1キロまでOK
今日は日本から海外、海外から日本へのゴールドの輸出入(個人)についてお話します。日本への持ち込み(輸入)は難しくなってきました。持ち出し(輸出)は1キロまでOKのようです。
輸出
日本から海外にゴールドを持ち出す場合、1キロまでは申告することなく持ち出すことができます(下注)。税関のホームページに明確に記されているほか、出国前の税関カウンターにある資料に記載されています。図表1に申告書の全体を示します。見やすくするように、縦型の用紙を横型にしました。図表2に裏面の重要な箇所を示します。


手持ち荷物の中に、ゴールドを入れて出国します。出国検査(パスポートや航空券の検査)を通る前に、手荷物検査があります。その際、ゴールドを入れたまま検査されても、検査官から「バッグの中身を開けてください」と言われることはまずありません。
1キロの鉄球を持ち出そうとすれば、検査に引っかかるでしょうが、ゴールドは検査機器では検出しないようになっているようです。
現金は100万円までしか持ち出すことはできません。これに対して、ゴールドは優遇されています。おそらく、ゴールドの価値が現在の10分の1以下の時に決められた規定であり、それが改定されていないのだと思います。
ということは、近い将来にこの規定が見直されるリスクがあります。海外で資産を築こうと思っている方、ゴールドを海外に持ち出そうと思っている方は早めに行動するのが得策でしょう。
注:2025年7月の時点で、羽田の税関で出国時に口頭で尋ねると、「ゴールドの持ち出しは重さの如何にかかわらず、申告してください」と言われました。これは書類上に記載されている文言と異なります。口頭ではそのように方針を転換している可能性があります。
輸入
海外から日本へゴールドを持ち込む場合、無申告で持ち込めるのは20万円相当までです。10グラムならば15万円ですから問題はないですが、20グラムでは申告が必要です。
最近事情が変わりました。帰国の際に必ず提出しなくてはならない、携帯品・別送品申告書(A面)に明確には
100万円相当額を超える現金、有価証券または1㎏を超える貴金属などを持っていますか?
と書かれています。
図表3にはAB両面を載せました。海外旅行をした人なら、見たことがある申告書です。図表4にA面の一番大事な個所の文面を表示します。それが上の文です。


以前は、ここについている欄の「いいえ」にチェックをすれば、1キロまで無申告でOKでした。
しかし、規則が変わりました。これについては、B面の下側に記されています。図表5にあるように、B面には、「免税範囲」として、

海外市価の合計額が20万円の範囲に収まる品物
とあります。この免税範囲の中には酒類、紙巻きたばこ、香水が並んでいます。つまり、「これらに準ずる品物が20万円以内は免税です」と言っているだけでした。ゴールドは物品ではありません。
しかし、多くの外国人が海外でゴールドを買って、日本で売却し、消費税分を儲けるようになったため、規則を内部で変更した模様です。申告用紙を変更するのは公的な手続きが必要なのでしょう。解釈の変更ならば現場判断でできるという姿勢です。
正直に申告をすれば、輸入当日のゴールド価格の10%の消費税を納めなるように言い渡されます。その上、日本人(日本居住者)の場合は、「そもそも、海外で金の購入に要した現金はどう調達したのか」と聞かれるでしょう。日本円で100万円以上の持ち出しができない決まりなので、あれこれ詮索されることになります。
こうしたことを考えると、10グラム以上の持ち込みはしない方がいいでしょう。なお、入国の際には金属探知機のようなものを通ることはありませんから、1キロを持ち込んでも税関にはわからないかもしれません。それでも、違法になったので、持ち込みはやめましょう。
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