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第195回 カレーライスにみる食生活困窮

  • 執筆者の写真: ファンクラブ 林則行さん
    ファンクラブ 林則行さん
  • 9月21日
  • 読了時間: 3分

外食が安い

今日は日本人の食生活が困窮している実態についてお話しします。


日本の国民食といえば、カレーライスです。カレーライスの原材料価格が大幅に上昇しています。図表1に2022年からのカレーライス価格の推移(ならびに物価上昇率)を記しました。これは帝国データバンクによるカレーライス指数によるものです。

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具体的に言うと、自分でカレーライスを1人前作る場合441円かかります。これは前年323円から37%(実額118円)も上昇しています。過去10年で最高です。


118円の値上がりの中で、大半を占めるのはごはん(ライス)価格です。前年5月(94円)からは+98円・約2倍の192円と大幅に上昇しました。


現在、外食価格を調べてみると、すき屋の普通盛りカレー490円、吉野家の普通盛りカレーは498円です。チェーン店は材料を大量に仕入れるので、原材料を個人で調達するのに比べて安価にできるのです。


自炊の場合は、441円に自分で作る手間賃は入っていません。さらに、食べ終わった後の洗い物の面倒がありますし、材料を買うと材料が余ってしまうことがあります。これらを考慮すると、「外食の方が断然いい」と結論できてしまうのです。


この結果、どうようなことが起きているのか?

当然外食が増えます。


その結果、庶民層が足しげく通う外食チェーンでは既存店の売り上げの伸びが著しくなっています。図表2に松屋、図表3に吉野家の前年同期比の推移を記しました。

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既存店の売上の伸びとは、1年以上前から営業している店について、1年前と現在の伸び率を比較したものです。いったんある場所に店を出すと、その周辺に地縁のある方々の数は増えることはないし、一回あたりの支出も増えません。従って、既存店の伸びは1~3%あれば「順調」と呼ばれます。これに対して、最近では10%近い伸びを示しています。


外食チェーンの既存店売上が伸び始めたのは2021年初めからです。大きなマイナスが少しずつ改善していった時期です。図表4を見ると、消費者物価の食品価格がこのから上がり始めたことがわかります。消費者が価格にとても敏感だという証拠です。

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リーマンショックの際に、多くの株は6割下がりましたが、マクドナルドの株はほぼ横ばいで推移しました。相対的にみて、驚異的な高パフォーマンスでした。その理由は皆が貧しくなって、マクドナルドでの外食を増やしたため、不況期に同社の利益が増えたためです。同じことが起き始めたと言えるでしょう。

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