第186回 貧乏旅行が始まっている
- ファンクラブ 林則行さん
- 7月20日
- 読了時間: 3分
やがて旅行者数減少へ
今日は旅行の質が貧乏化に向かっていることについてお話します。
にもかかわらず、最初にお見せするのは、それを全く感じさせない統計です。図表1を見ると、訪日外国人は、長期上昇トレンドにあることがわかります。2024年の1月時点では、2588万人の訪日外交客があり、現在(2025年5月)では3693万人にまで拡大しています。

この統計は、日本を訪れる外国人の数がまだまだ増えていることを示しています。旅行全盛期と言えるでしょう。
しかし、その陰で貧乏旅行化は始まっています。
旅行に出れば、飛行機、電車、宿泊、外食、お土産、アトラクション参加といった、たくさんの支出が発生します。そんな中、「旅行はしたい。でも、頑張って節約しないといけない」という傾向が見え始めています。図表2がそれを表したグラフです。日本の百貨店における免税売上(前年比)です。

2024年5月には、前年比で231%という驚異の上昇率を示しました。その後、前年比は下降トレンドを続け、今年の1月にはマイナスに転じました。そして、直近データの2025年5月時点では、―40.8%という大きなマイナスを記録しています。
理由のひとつは円高です。2024年の7月に約160円に達したドル円相場は現在では145円前後で推移しています。つまり、円高が10%進行したことになります。海外からの旅行客は、10%高い価格で購入しなければならなくなったのです。
しかし、10%の円高だけでは4割を超えるマイナスは説明できません。
旅行者数が今後減っていく理由
これは何を意味するのか。
ぼくの考えるところでは、「遠距離旅行にはタイムラグがある」という推察です。
つまり、旅行の計画は半年ぐらい前には行います。バンコクに住むタイ人の友人たちが、「来年は日本に行くんだ。桜を見るんだ」と何度もぼくに語り掛けてきました。この場合は1年前から計画していることになります。
どの国をどのように訪れて、何日ぐらい滞在するのか。同行者(家族、または友人同士)との休暇の調整、といったことを早めに行わなければなりません。また、飛行機運賃やホテル代は、早く申し込むほど料金が安く設定されています。このため、半年以上前から予約する人が多いのです。
実際、ぼくが経験した東京―NYの往復航空運賃(ビジネスクラス)を示すと出張3ヶ月前は80万円だったのが、1ヶ月前には100万円に値上がりしていました。
この点、旅行先での出費は当日の懐具合によって上下させることができます。「今回の日本旅行でどうしても高級免税品を買わなくてはならない」ということはないでしょう。
タイムラグ効果は今年の秋口または来年初めには明らかになってくるでしょう。現在のような免税売上の減少傾向が続けば、日本を訪れる外国人旅行客も減ってくるものと思われます。
外国人旅行者の減少は、日本だけの現象ではありません。各国も同じ状況で、世界的な景気悪化の傾向が色濃く映し出されていると思ってください。
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