第17回 通貨の下落サインは何段階で発令されるのですか?
- ファンクラブ 林則行さん
- 2022年5月27日
- 読了時間: 3分
質問:災害の警戒レベルは5段階ありますが、通貨の下落サインは3つとも、重要情報(注意報)と緊急発信(警報)の2段階でしょうか?
サインによっては、もう少し段階があるような気がするのですが。
回答:
ご質問は通貨価値が暴落を始める際のサインについてです。現在は、米国ドルや日本円の価値を疑う人はいないですが、それが変わる日が来るというのがぼくの主張です。
そうした大きな変化が起きる際には、サイン(予兆)が必ず起きます。サインは株価の下落、ドル円の為替レート、米国の金利(長期金利)の3か所にサインが現れると考えています。
その際に、ぼくが発する警戒レベルは2段階(注意報と警報)なのか、というのがご質問の趣旨です。気象庁が発表する大雨については、5段階の警戒レベルになっているが、通貨暴落の際には2段階の注意報と警報しかないのだろうか、というものです。
現状では2段階のレベルを皆さんにお知らせするのが精一杯なのではないかと考えています。
理由
① 気象の場合と違い、過去の例が非常に少ないので、統計上機械的な判断をすることができません。日本の例を挙げるならば、第二次大戦後の巨大インフレ(=通貨暴落)、江戸時代の狂乱物価といったものになり、統計数値が明確には存在しません。
では現時点で通貨暴落に苛(さい)まれている国家には十分な統計があるのか?ベネズエラで1兆倍のインフレになっていますが、国家の機能が停止しており、GDPをはじめとする統計が発表されなくなっています。1兆倍というのも推計値にすぎません。
② 経済危機は時間的な余裕がない間に、つまり、「あれよあれよ」と言う間に広がることが多いです。1990年に始まる日本の株価暴落は、最初の9か月で株価が半分にまで下がりました。リーマンショックの際は、2009年1月開催のダボス会議(世界のリーダーの集い)では米国の景気悪化の可能性については全く議題にならなかったのに、同年9月には米国の主要投資銀行や保険会社、住宅金融公庫などが倒産してしまいました。
③ 経済や金融指標は複雑に変化します。たとえば、株価暴落に関するサイン(近いうちに株価暴落が始まるか)については、次の表にあるようにいったん点灯した指標のサインのひとつが消えてしまいました。では、暴落が遠のいたかというと、別の指標のサインが点灯に近づいている状態です。
株価の暴落開始に関するサイン
項目
半年前
現在
ファンドマネージャの買いポジション
点灯中
陽転(株価上昇に向かう兆しあり)
騰落レシオ
点灯中
点灯中
先行株(金融・欧州株)
点灯中
点灯中
ジャンク債
気配なし
点灯が近づきつつある
こうしたことを踏まえて、皆さんにできるだけ正確な情報をお届けしたいと考えています。
すばらしいご質問をありがとうございます。
質問により、刻一刻と変わる金融、経済の情勢に対するいまの位置を知ることができました。
また、先生の、ファンドマネージャーとしての責務へのご意志と、誠意を、強く感じとることもできました。
これからいよいよです。宜しくお願いします🐟