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第172回 今後の金価格は上がっていくのか

  • 執筆者の写真: ファンクラブ 林則行さん
    ファンクラブ 林則行さん
  • 3月24日
  • 読了時間: 3分

鉱山会社は先高を見ている


今日は今後の金価格の見通しについてお話します。結論から言うと、今後の金価格は強いと考えています。


その理由は、鉱山会社の売りポジションが低位で推移しているからです。金の鉱山会社は世界中のすべての金の供給情報を把握しています。鉱山を開発するのには数年はかかりますので、「どこの鉱山でどの程度生産しているのか」、また、「各鉱山で今後、生産が増えるのか減るのか」についての予測をかなり正確に持っています。つまり、この種の情報については、“ばっちり”あると言っていいでしょう。


これらに基づいて自社の金の生産量、販売量を決めます。その際、鉱山会社は先物市場で売り立てを行います。金は生鮮野菜とは違い、腐ったり劣化したりすることはありません。そこで、生産したら即出荷するのではなく、タイミングを考えて市場に売り出します。


別の言い方をするなら、金をいつ売ったらいいのか、早めに売ったらいいのか、遅らせた方がいいのかを決めるために、先物市場を利用しているわけです。


鉱山会社が売りポジションを増やすということは、実際の生産がおこなわれる前に価格を決めてしまう行為です。つまり、「早めに売値を決めてしまいたい」ということですから、価格下落を予測していることになります。反対に、鉱山会社が売りポジションを減らすということは、今後の価格上昇を見込んでいるということになります。


図表1の現在の鉱山会社の売りポジションを見てください。現在のレベルは、8万枚程度の売りポジションです。2006年の統計開始以降で、8万枚の売りは決して大きな値ではありません。つまり、鉱山会社は先行きの価格に強気だということがわかります。



ここからは、鉱山会社の売りポジションが金価格を大きなミスなく予測していることについて解説します。


まず、高値についてです。図表1の中における売りポジションの高めの時期に黒丸(点線)をつけました。この黒丸の少し後で金価格が天井を付けていることがわかります。


次に底値についてです。図表2に、売りポジションの非常に低い位置に黒丸(実線)をつけました。比較的正確に底値を予測していることがわかるでしょう。



特に2013年の末には売りポジションがマイナスになっています。つまり、買いポジションを持っているということです。自分が生産する以上に市場に供給しようという姿勢です。将来の価格に相当強気だったことがわかります。実際、その後価格は大きく上昇に転じました。


現在の売りポジションから、将来の金価格についてどのような推論ができるのか。図表3です。まず言えることは、「リーマンショックの際のような30%の価格下落はないだろう」ということです。リーマンショック前の金価格天井時期においては売り建てが20万枚以上もあったのですが、現在ではその半分以下の8万枚に抑えられているからです。



今後下落があるとしても、最大で、黄色のコメントを記したような時期における程度の下落幅でしょう。この際、金価格は2000ドル台から1600ドル台まで約20%下げています。


ただし、現在の売りポジションはこの時期の売りポジションよりも低いので、ここまでの下落を心配する必要はないかもしれません。それでも、投資においては予期せぬことが起きることがあり、油断は禁物です。そのために、金購入においては何回かに分けることをお薦めしています。


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