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第169回 騰落レシオが示す大暴落への道のり

執筆者の写真: ファンクラブ 林則行さんファンクラブ 林則行さん

米国株への投資はどのようにすべきか?

2月21日、NYダウは748ドル安(1.7%安)の大幅な値下げとなり、終値が43,428ドルとなりました。多くの方から「これは大暴落の始まりなのか」という質問をいただきましたので、今日はこれについてお答えします。

ぼくの見解は「大暴落は近いとは考えられるものの、それが始まったという証拠はない」というものです。もう少し正確に言うと、「大暴落はまだ先だ」と考えています。その理由を、順を追って説明しましょう。

図表1にNYダウの最近の推移を記しました。NYダウが史上最高値をつけたのは、2024年12月で、その後ダウ平均株価はこの高値を超えることなく推移しました。そして先週の大きな下落となったのです。これを見る限り、NYダウはかなり弱くなっていると考えられます。



1月につけた安値を割り込むようなことがあれば、NY株式市場が陰転したことが明らかになります。しかし、それは「今週以内にも起きる」といった切羽詰まったものではないだろうと、ぼくは考えています。

それがわかるのが図表2です。S&P500の株価指数です。12月、1月、2月と高値を更新しています。ダウ平均よりも、株価が強いです。また、S&P500においても、1月の安値を割ったら市場が陰転することを示していますが、チャートの形を見ると、まだ道のりが遠そうです。



図表1、図表2に比べ、さらに強く推移しているのが、図表3の騰落レシオです。これはS&P500を構成する500銘柄の日々の上昇株数と下落株数の差によって計算される指数です。騰落レシオは、株価指数以上に今後の動向をよく表すと言われています。

このレシオの最近の下げ方に注目してください。NYダウやS&P500の下げ方に比べて小さいです。すなわち、「下落銘柄数が多くない」ということを示しており、下落の色合いの強い銘柄が市場全体に広がっていないことがわかります。したがって、下落相場に入るにはまだ多少の時間があると読み解くことができます。

騰落レシオにはもうひとつ重要なメッセージが示されています。それは、「騰落レシオが2024年12月の時点で、前の安値を割り込んだ」という事実です。図表3に黒い矢印で示した箇所です。



これは、「NY株価が長期的に陰転をした」と言えるサインです。ですから、数ヶ月の間には、NY市場は、下落に向かうものと考えられます。しかし、それまでは、下落相場は始まらないのではないかとぼくは考えています。

だったら、「もう少しの間、米国株でひと稼ぎしてやろう」というのは、リスクのある行動であり、やめた方がいいでしょう。この一、二ヶ月の間に米国株からは完全に足を洗うのが正しい投資方針です。米国株から無傷のうちに撤退ができる最後のチャンスだと考えてください。

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