反対勢力の粛清
トランプ人事の眼目は、イーロン・マスク氏の登用です。トランプは、歴代大統領の中でも歴史に残る高い能力を有する人物であり、イーロン・マスクも経営者として同様です。この2人がタッグを組めば、大きな改革が成功することは間違いありません。
イーロン・マスクの本領は二つあります。新しいビジネスの創出が彼の最大の能力ですが、もうひとつあるということです。それは、ほとんどの経営者や政治家に比べ、仕事や諸問題の本質を見抜く力が卓越していることです。
マスク氏が部下から報告を受ける場合、「本質は何なのだ?」と質問をします。それに対して、大事な順番に1分以内に答えることができなければ、「もういい」と彼は言うでしょう。しかも、部下の報告が本質を外している場合は、「それは重要ではない」と言ってすぐに却下します。
イーロン・マスクに会ったことがない僕がどうしてそのようなことがわかるのか、皆さんは不思議に思うかもしれません。それは僕自身が同じことを長年やってきたからです。ビジネスの最前線では、そうしたことが日常的に行われています。
イーロン・マスクは、米国政府の無駄を徹底的に省いていきます。人員削減と予算削減です。これは官僚機能にありがちな無駄の排除にとどまりません。それは、これまでトランプに抵抗してきた反対勢力の排除につながるのです。
4年前の選挙で、バイデンを当選させた折、多くの政府関係者がその不正に関与しています。まず、この不正分子を洗い出し、処分します。実は、これは難しいことではありません。「誰がいつどのような決断をしたか?実行したか?」については詳細な記録が残っているからです。マスクほどの力がないとしても、一般的に「敏腕だ」と評価されている経営者ならば、難なく反対勢力を排除できます。
ここからがマスクの真骨頂です。それは、抵抗勢力の中に、顔のよく見えない連中がいることです。具体的に言えば、CIAのような闇の組織は、隠密行動をする人たちですから、「上司の命令が何なのか。その命令に実際従っているのか」を明確でない場合が多々あるでしょう。そもそも、「誰が命令の指示、実行に関与したか」が特定できない場合もあるでしょう。しかも、こうした連中の中に、多くの反対勢力が潜んでいます。
誰でもそうですが、人から命令されたくはありません。諜報機関は自由度が高いので、大統領の命令など“しらんぷり”ができてしまうのです。
こうした組織の連中の一掃は、一般の官僚機構にいる人間に比べてかなり難易度が高いです。それでは、イーロン・マスクはどのように、こうした抵抗勢力を排除するのか。
それは予算です。具体的に言うなら、ある組織がトランプ政権にとって有効な役割を果たさないと判断した場合は、その予算をゼロにしてしまうわけです。予算がなければ、抵抗勢力はその意思を貫くことができません。肥料を与えられない植物のように、みるみるうちに痩せ細って自滅していきます。これは予算削減という面からも、トランプ政権にとって一石二鳥です。
「トランプ革命」という言葉が使われています。革命というのは、これまで力を持っていた人間にとって代わって、新しい人間がその力を奪うことです。別の言い方をするなら、「粛清」という言葉に当たるかもしれません。先頭に立って行うのがイーロン・マスクだとご理解ください。
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