現場の力が圧倒的に強い日本
ウイズでは日本の強みについてのお話をしましょう。
(定例発信では弱みについて語っています。)
日本の強みーそれは現場の力です。私たち庶民1人1人のレベルが高いということです。具体例を挙げながら説明しましょう。
例えば、新幹線の掃除です。これは、外国の大統領や要人たちが視察するほど有名な例です。大阪からやってきた電車が東京駅に到着し、その電車が大阪に向けて、再び折り返し出発するとします。東京駅での停車時間を14分とし、乗客が降りる時間を2分、乗客が乗る時間を2分とすると、掃除時間は10分となります。
この10分間に新幹線の全車両の約1300席を綺麗にしなければなりません。これが可能なのは、現場の力が高いからです。つまり、庶民である私たちの努力する姿勢、仕事への熱意が高いからです。
これに対して、海外で国際線の飛行機を掃除する場合、掃除に30分程度がかかっているようです。大型機の座席はだいたい600席程度ですから新幹線の半分です。半分座席に対して、3倍の時間がかかるのですから、効率が6分の1という言い方ができるかもしれません。
現場の人たちは日々問題点を話し合って、できるだけ仕事の効率を高めるようにしています。
新幹線の掃除の例でいうならば、ブザー付きのほうきです。これで、座席を掃除すると、濡れた箇所にセンサーが感知し、ブザーで知らせくれます。そのため、掃除の効率が非常に良くなりました。このブザー付きほうきを発明したのは、現場です。
掃除のスタッフは、到着した電車から降りてくる乗客に対して一礼をして迎えます。「自分たちの仕事はお客様をおもてなしすることだ」と捉(とら)えているからです。海外では、スタッフが「掃除が仕事だ。それだけやればいい」と割り切っています。乗客が得る印象が全く違ってくるのは当たり前でしょう。
現場の力を示す例をもうひとつ挙げるとすると、電車ダイヤの正確さです。東海道新幹線は、東京駅を数分おきに発着し、年間で約13万本が運行されます。 その年間の平均遅延時間がわずか1.1分(2022年度)です。この遅延には、大雨や台風、大雪といった自然災害による遅延も含みます。
仮に一本の電車が台風のため3時間遅れたとしたら、平均遅延時間1分を達成するためには、ほぼすべての電車が遅延ゼロになっていないといけないでしょう。実際に、そのように運行されているわけです。
驚異的な正確なダイヤを実行するために必要なのが現場の力です。車両や線路、架線、ホームの点検を日々精緻に行うことによって、安全の度合いを高め、ダイヤの正確性を実現しています。
最高時速では中国やフランスに負けていますが、日本の発着時間の正確さは他国では全く達成できないレベルです。
皆さんは「飛行機はダイヤが不正確だ」という認識を持っているでしょう。これは外国での経験が頭にあるからです。国内線の発着回数が多い羽田では平均遅延時間が出発便2.9分、到着便2.6分です。日本の空港は優秀なのです。
日本は現場の力が強いです。日本人は責任感が強く、仕事に対する熱意が強く、またチームワークも強いので、現場の力は世界最高水準にあります。この力を持って、海外への輸出や海外勢との競争に勝ち抜いていくことができると僕は思っています。
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