質問:
最近の「金の果実」(純金上場信託1540)の値動きを見ると、割高になっているようです。買ってもいいのでしょうか?買わない方がいいですか?どのように対処すべきでしょうか?
回答:
「金の果実」は急速に値上がりしています。現時点ではスポット買いは控えた方がいいでしょう。それでも、毎月積み立てて買っている人は継続しても構いません。
解説
金の果実が割高な理由
「金の果実」の価格が異常な動きをしています。図表1にあるように、最近は地金国際金価格に対して、金の果実が大きく上がっています。これをわかりやすくしたのが図表2です。図表2は、金の果実を国際価格で割ったものです。
金の果実は地金そのもののはずでから、両者の価格は一定であるべきです。それが図表2の24年3月20日までの価格に現れています。
しかし、その後、金の果実は大きく値上がりし始めました。
この理由としては、大口の買いが入っているものと思われます。
金の果実は上場信託ですから、利益に対して所得税が15%となっています。これに対して、地金は一般的な所得税の税率が適用されますから、最高税率は45%になります。
長期で保有する場合、地金と金の果実はどちらが税的に得か?
5800万円以上の利益が出た場合は、金の果実の所得税の方が税額が少なくて済む計算になっています。このため、大口の買いが入っているのでしょう。
こうしたことから、金の果実は割高に推移しています。
このため、東証もこの割高価格に関して注意喚起を行っています。
この注意喚起は4月17日に出されています。
この割高な動きは是正されると考えていいでしょう。
金の果実に対する投資方針
仮に、現時点で金の果実のスポット買いをしようとする場合、10%余分に支払わなくてはなりません。その場合は地金を買った方が割安になるでしょう。バーチャージのかからない500グラム以上(日本マテリアルなら100グラム以上)の購入ならば特にそうです。
大口の買いが収まれば、やがて価格は以前と同じ一定の割合に戻ります。その時点まで購入を待てる人は待った方が得策でしょう。(ただし、その時点の地金価格が現在より高いか安いかは判断できません。)
一方、日頃から金の果実を積み立てて買っている人はそのまま継続して購入しても問題は大きくないでしょう。仮に現在金の果実を持っているとして、1%を追加購入する場合、10%のプレミアムは全体のコストを0.1%だけ押し上げる効果しかないからです。
金の果実の異常な値動きは大口購入者の仕業です。金が多くの人から注目されていることがわかります。これは将来の価格高につながる動きだと解釈して差し支えありません。
混乱を招いた三菱UFJ信託銀行の説明
三菱信託銀行では4月16日に「基準価格と市場価格との乖離に関するお知らせ」を発表しました。この中で、金の果実は1口あたり、現在0.9426グラムであると公表しています。2010年の運用開始時期には1口当たり1グラムだったものが、0.9426グラムに減少しているということです。
この表記が投資家に混乱を招いています。
今年の初めには1口当たり1グラムだったものが、3月末から急にグラム数を減少させたように読めてしまうからです。
これは間違いです。2010年には1口あたり1グラムだったものが、翌年にはやや減少し、その翌年にはさらに減少しています。これは信託報酬を差し引いているからです。
信託報酬は0.44%です。つまり、地金価格が1年間全く変わらなかったとすると、年初100万円だった金の果実は年末には99.56万円になってしまうということです。この積み重ねで、現在の関係(1口当たり0.9426グラム)が出来上がっています。1年後にはさらに0.44%の減額が予定されているわけです。
このことは、最近の大幅な金の果実の価格上昇とは一切関係がありません。しかし、同じお知らせの中に、0.9426グラムの話を記載したために、多くの投資家が「三菱UFJ」銀行は投資家に無断で、勝手に条件を変更した」と考えてしまいました。
金の果実は日本で上場する金ETFのうちシェア8割弱を占める商品です。どのETFも同じような信託報酬の差し引きを行っており、金の果実が特異だということではありません。今後も投資対象にすることに問題はありません。
ライオンさん、いつも参考になるコメントをありがとうごさいます。
ゴ-ルド現物は、保管が何よりも課題ですね。
ドイツ🇩🇪、フランス🇫🇷、オランダ🇳🇱等の国々もアメリカ🇺🇸に預けたゴ-ルドを返却して貰えていないみたいですね。
やはり、監査法人の監査でなく、
いつでも、「自分自身の目👁️で監査をすること」ができるようにしておくことが大切だと思います。
nancy delacruzさんのコメント見ごたえがあり、勉強になりました! できれば教えていただきたいのですが、投資信託が現物対比の理論価格より乖離するときは「上」に乖離する場合が多いのですよね? 買いもちの人はロングのままでいいのではないのでしょうか? そして「下」に乖離したときは新規買いをいつもより多く買う。 これでいいのではないでしょうか? あと素人の私にもうひとつ教えていただければ幸甚です。現物を買うと消費税がかかりETFや投資信託(つまりペーパーポジション)は消費税がかからないのでそっちのほうがいいのではないのでしょうか?
nancy delacruz様、大変貴重なコメントを頂き誠にありがとうございました。大変参考になり勉強になりました。
私にとって、ゴ-ルドの最大の魅力は、「ゴ-ルドそのものに価値がある。」ことです。
私は、ゴ-ルドの長期保有派ですから、「困ったことがない限り売却を致しません。」というポリシーを持っています。
何よりも金融恐慌や戦争、災害等の際に「信用不安が発生した時」に備えて保有しております。決して利益を狙っていません。困ったことが無く売却しないで済めば、自分で使わずに家族に残したいのです。投資しているつもりはなく、資産に保険を掛けているつもりです。
現在は、100g以下のゴ-ルドの地金や1オンスのコインの現物を中心に、いざという時に少しずつ売却して生活の費用に使用しようと備えております。
自宅の金庫で保管するか、倉庫会社の貸金庫を借りて預けております。
確かに現物に交換できる「金の果実」は、ETFの中では一番信頼できそうですね。売却もしやすく、税金も現物よりも安い場合もあり、大変便利なので利益を狙う短期売買には大変便利な商品ですね。盗難の心配も低いですしね。
しかし、長期保有するには、心配があります。
もし、現物に交換を希望される方が殺到した場合には本当に全ての希望者へ交換できるでしょうか?
心配がありますね。
何よりも「自分の目👀で実際に監査をして、現物を保有を確認しておりません。」から。
私の意見は、短期売買の方はETFを、長期保有の方は現物保有が良いと思います。
ここ(1540)の理論価格はおおまかに言えば一口0.9624gの円建て金先物価格なのですが、あたかも1gあたりの円建て金先物価格に収斂させることを目指す(つまり理論価格は一口1gの円建て金先物価格にプロットする)といったような誤解を招く記載が商品紹介ページ、目論見書、信託約款に多々多々、為されています。実質的には理論価格は一口0.9624gの円建て金先物価格になっているにも拘らず、一口1gの円建て金先物価格に収斂させるかのように偽って(実際は偽ってはいないが説明が全く足りていない)販売・営業を行うのは何らかの法律に抵触すると感じ、当ファンドに連絡を入れました。(金商法、景品表示法違反に当たるのではないかと思っています) 信託報酬の支払いによって、一口のg数が減少する可能性があることは目論見書に記載があるので良いのですが、それによって、今現在一口1gが一口0.9624gになってしまっているという重要な情報が商品紹介ページ、目論見書の商品設計の項目等に意図的と言っていいほど記載がないわけです。 "当ETFの市場価格は、一口1gの円建て金先物価格にプロットする"かのような表現が未だに用いられています。(私がそこの担当者に連絡を入れ、喋らせた話ですが、一口0.9624gになったという記載は最新の目論見書、信託約款にはないとのことです。そこの室長はあたかもこのことをそれらの書類で公示済みであるかの表現を声明文で用いていますが、完全に矛盾しています) 最後になりますが、そもそもここの一番の問題は、MM(マーケットメーカー)対応銘柄であるにもかかわらず、何週間も10%から15%規模の大規模な価格乖離を放置していたことです。大口のマネーが流れ込んできたから平時にMMへ任されていた資金規模では価格乖離を抑制できなかったという言い訳は通用しないとも、私は担当者に申し上げました。 というのも、ここの連中は東証から大目玉を喰らうと、正味3日も経たずに、上方乖離分の価格を無理やり暴落させ、理論価格に市場価格を無理やり収斂させてきたからです。MMが急に厳格かつまともな仕事をするようになったわけです。 (こんなに迅速に対応できるのであれば、やろうと思えばいつでも出来た証左でしょう) この信託(1540金の果実、ファインゴールド)を買っている人は今回の件で、そのほとんどが相当に怒り狂っており、然るべき機関に皆報告をいれています。今回の案件で、この三菱信託は相当に信用を失ったことでしょう。 現在は市場価格は概ね理論価格に収斂されています。ですので、今から買うという人は林さんの言うようにありだとは思います。が、私にはここは、根性の腐り具合から、もはや大阪豊田商事のような悪徳架空証券販売業者にしか見えませんので、先物で現受けをするか、やはり税金を取られても現物の金を買い増ししようと考えています。 https://kikinzoku.tr.mufg.jp/ja/data_report/historicaldata.html