質問:
先週の記事で、機関投資家は馬鹿だという話がありました。どうしてなのでしょうか?なんだか、腑に落ちません。
回答:
図表1をご覧ください。米国の場合、ファンドマネージャがインデックスに勝てたのは、たったの7.8%に過ぎません。つまり、92.2%はインデックスに負けています。プロなのに、このざまです。この事実を前にしたら、「機関投資家は馬鹿だ」とさげすまれても仕方がないでしょう。
解説:
理由は次の2つから成っていると考えます。
➊平均株価にカラクリがある
第一に指摘しておきたいことは、平均株価(例:日経平均)とはファンドマネージャの成績の平均だということです。機関投資家が株式市場の主役になった現代では、平均株価はファンドマネージャが作り出しています。
この場合、理屈の上ではファンドマネージャの半数が指数に勝ち、半数が負ける状態になるはずです。ところが、現実は、平均に対して9割のプロが下回っています。逆に言えば、上回るのは1割に過ぎません。なぜでしょうか?
この1割がとてつもない成果をあげて、平均値を高くしてしまっているのです。だから、その他大勢の負け組が9割に達しているのが現状です。
❷ファンドマネージャは学歴が問題
ファンドマネージャの問題点は学歴にあります。学歴が低いのではありません。高すぎなのが問題です。米国ではウォール街で働きたい人は最優秀の成績でハーバードやスタンフォードといった大学を出ます。そうでないと、ウォール街には就職できません。
日本と比較すれば、ウォール街の最難関の企業への就職は日本の最難関企業への就職の10倍は大変でしょう。日本だと大卒の賃金は会社によってそんなに大きく違いませんが、ウォール街社は一般企業とは数倍は違います。ちょっと成功したら、10倍は当たり前です。
誰でもそうですが、多くの人は周りから脚光を浴びたいと考えます。ハーバードに入って、ウォール街に就職すれば、相当格好がいい。これが命取りになります。
職業を格好の良さで選んでいるからです。仕事は好きなことをやらないと成功しません。相場の世界でトップに君臨する人達は、相場大好き人間です。小学生や中学生、高校生のころから、マネーゲームこそが自分の一生の仕事だと気づいている人たちです。ぼくもそのひとりです。
株式投資は昔でいえば、博打です。ファンドマネージャはばくち打ちです。ばくちと学校の成績とは何の関係もない。だから、格好の良さで相場を選んでしまった人は長続きできなくなるのです。
日本でも好例があります。
日本で入学が一番難しいのが東京大学の理科三類、つまり医学部です。ここには、「一番難しい難関の試験を通ってやる」という気概でやってくる人が一定数います。
その人たちは、医学には興味がない。試験合格をしたいだけです。だから、入学してから、「なんだか違う」となってしまいます。医者にならないでやめていく人がかなりいます。
このように説明すれば、「ファンドマネージャは馬鹿だ」が納得して頂けるでしょう。
コメント