質問:
林さんは日経平均が史上最高値を更新せずに、横ばい圏に入ると予測しています。その理由を教えてください。
回答:
私たち庶民の暮らしが良くなっていないからです。株価は経済の状態を現わす重要な指標です。経済の中心をなす庶民の暮らしが良くなっていないのに、株価が史上最高値を更新するとは考えにくいです。
解説:
株価は2024年1月に入ってから大きく上がり始めましたが、出来高の増え方は大きくはありません。図1では、1月に入ってからの出来高(黒い丸)と2023年6月~12月(株価横ばい圏:青い丸)の出来高を比較しました。青い丸と黒い丸の比較です。伸び率は15%にとどまっています。大きな上昇相場に入る際には2-30%の伸びになるのが普通です。
株価の上昇に人々が心を大きく踊らされていいないことがわかります。その理由は庶民の暮らし向きにあります。向上していると感じていないのです。
図2には1983年からの消費者信頼度指数の推移を示しました。指数の数字が高いときは、「暮らし向きが良い」と人々が思っている時であり、指数の数字が低い時は「暮らし向きが悪い」と思っている時期です。
株価が史上最高値をつけた1989年では、図2の表示期間中、消費者信頼度指数が最高値になっているのがわかります。その後、この指数は上下動はあるものの長期にわたり低下傾向にあります。直近では株価が史上最高値に近づいてきたにもかかわらず、指数は低迷したままです。
暮らし向きがあまり改善していません。むしろ、私たち庶民は悪化していると考えているといっていいでしょう
先週示したように給与が上がっていないことが主要因です。
株価は高いが、暮らしは悪い。一言で総括するとこのようになります。大きなひずみが生じています。株価は経済の一コマに過ぎませんから、最終的には株価は庶民の暮らし向きのレベルに引っ張られていくでしょう。
暴落はしないんですか?