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第108回 金融恐慌に耐えられる証券会社はどこですか?

  • 執筆者の写真: ファンクラブ 林則行さん
    ファンクラブ 林則行さん
  • 2023年12月25日
  • 読了時間: 3分

質問:

金融恐慌が来ても耐えられる安全な証券会社はどこでしょうか? 

 

回答:

ネット証券は比較的安全といえるでしょう。注意が必要なのはSBI証券ですが、これもリスク大とまでは言えないでしょう。

 

 

回答:

①  既存の大手証券には近寄らない

野村、大和といった大手証券は国債の販売ビジネスを行っており、大量の在庫を抱えています。国債がデフォルトした場合、この在庫がすべて無価値になります。

 

図表1には大手証券会社の2023年3月期の経常利益の一覧を記しました。これによれば、新興のネット証券の業績が好調なことがわかります。古くからある証券会社はじり貧状態です。SMBC日興証券に至っては赤字です。



 

②  ネット証券は比較的安全

ネット証券は国債の販売ビジネスを行っていないか、行っていたとしても限定的です。そこで、国債の在庫価値がゼロになったとしても損失は限られています。

 

図表2に、ネット証券のNISA向け手数料一覧表を記しました。日本株などの手数料が無料です。これはすごいことです。株価が暴落し、ビジネスが縮小傾向に入ると、自分で自分の首を絞めるような取り組みだといえないことはないですが、ここまでの大胆な取り組みができる会社であれば、恐慌の際にもうまく立ち回ることができるという考え方もできます。

 



 

③  安全なのは松井、マネックス、AUカブコムの順番

図表3は自己資本比率(純資産を総資産で割ったもの)の一覧表です。数字が大きいほど安全度が高いです。松井の場合は総資産の7.0%までが不良化したとしても破たんすることがありません。



 

マネックスはNTTドコモの傘下に入りました。従って、金融恐慌で社業が傾いたとしても親会社からの支援が期待できます。AUカブコムについても同様で、KDDIからの支援が期待できます。

 

AUカブコムは三菱UFJ系でもあるので、同社が仮に三菱UFJ銀行に貸出を行っていた場合は問題が残ります。つまり、三菱UFJ]銀行が倒産状態となった場合、その貸出金額が戻ってこないリスクがあります。しかし、その場合でもKDDIがサポートに回り、AUカブコムは生き残ることができるでしょう。

 

④  SBIは傘下の銀行にリスクがある

SBIは銀行業に手を広げつつあります。新生銀行や韓国の貯蓄銀行を傘下に収めています。これらの銀行は国債を大量の保持している可能性があり、子会社の銀行が破たんした場合、親会社であるSBIにも多大な影響があると考えられます。

 

SBIは好業績であるにも関わらず、恐慌時には破たんの可能性がないとは言い切れません。だからと言って、SBIの口座を解約して他社に乗り換える必要があるかといえば、そこまでのリスクはないのではないかというのがぼくの見解です。

 

⑤  投資家保護基金は役立たない

証券会社が破たんした場合、個人投資家に限って1000万円まで保護されることになっています。しかし、この基金には資金が584億円しかありません。これに対して、大和証券の場合、国内外債は3兆円以上あります。

 

なお、規則ではお客様の資産は会社の資産とは分離されており、破たん時にも問題なくお客様に返却されるはずなのですが、会社が規則を守らずに、会社の運転資金などとして充てられていた場合には保護基金が使われることになっています。

 
 
 

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