質問:
「ゴールドが上がる理由はマネーの刷り過ぎだ」と林さんは言っています。だとしたら、お金を持つより物を持つ方がいいことになります。そこで質問ですが、ゴールド以外の商品(例:原油、銅、大豆)に投資するというのはどうでしょうか?
回答:
各種の商品に投資するのはいい方法だと思います。その中で一番いい方法はゴールドに投資することです。
解説;
現代経済の最大の問題はマネーの刷り過ぎです。マネーは経済の伸びにともなって増えるものなので同程度の伸びであるべきです。ところが、米国のマネーの伸びを見ると、近年になって経済規模の2倍弱になってしまいました。
マネーが2倍にまで膨れ上がれば、マネーの価値は最終的には半分に下がります。つまり、商品価格は平均して2倍になる計算です。私たちは原油、銅、大豆といった商品そのものを買って蓄えておくことはできませんが、それらに投資する証券(ETF)に投資することはできます。
その中でも一番いい投資先はゴールドです。
図1には1960年からの各種商品相場の上昇幅(倍)を記しました。食品・農作物の伸びが低く、金属が高く、エネルギーがなお高いです。ゴールドは原油に次いで2位になっています。
価格の伸び率:食品<金属の理由
食品の伸びが低めになっている理由は人口の伸びと関係があります。1960年に30.3億人だった人口は現在では79.5億人になっています。2.6倍です。
これに対して、GDPの伸びは驚異的です。1960年には1.4兆ドルだった世界のGDPは現在では101兆ドルです。伸び率は72倍です。
これが食費よりも金属の価格の伸びが大きい最大の理由です。
ここで疑問が湧く人がいるでしょう。GDPが72倍になっているのに、金属の価格が10~24倍にしか達していないのは何故か?それは経済の伸びの中心がサービス分野だからです。例えば、インターネットは急成長をしていますが、その事業には金属はあまり使いません。
ゴールドが大幅上昇している理由
ゴールドは1960年から54倍になっています。ゴールドの産業用途は全体の1割に過ぎず、大半は宝飾・退蔵です。つまり、GDPの伸びにはあまり貢献していません。にもかかわらず、ゴールド価格は大幅上昇しています。その理由は何か?
人々はまだ、「マネーの刷り過ぎだ。マネーは危ない」と言い出してはいません。しかし、無意識のレベルでそのことに気づいているのでしょう。それで資産をゴールドに移しているのだと思います。
図2は各種商品の現在価格の位置を示したものです。これは現在価格がこれまでにつけた史上最高値からどの程度の位置にあるかを示しています。例えば、天然ガスならば、現在の価格は最高値から22%の位置にあります。つまり、最高値から約8割下落したという意味です。
これに対して、ゴールドは96%です。最高値に近い水準です。それはゴールドに人気が集中し始めていることを示しています。この理由は何か?それは、人々がマネーの刷り過ぎに対する危機感を持ち始めていることにあると思います。
このように見ていくと、私たちが今後ともゴールドに集中して投資していくことが最善であることがわかります。
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