質問
やめた方がいいでしょう。世の中にうまい話はないと思うべきです。確かに、1年ものの円定期金利は0.001%で、これに対して、米ドルでは5%以上です。これだけ見たら、圧倒的に米ドル預金が有利ですが、外貨預金には為替リスクがつきものだということを忘れてはいけません。
米国が日本人の預金を狙っている
解説:
三井住友銀行は外貨預金金利(1年定期)を5.30%に引き上げました。2023年9月25日から実施されています。それまでは、0.01%の金利しかつきませんでした。
定期金利を変更する際は、通常は0.1%とか0.2%とかといった小規模の変化を少しずつ積み上げていくものです。いきなり、5%以上の金利上昇はありえないです。
裏があると勘繰(かんぐ)るべきです。
三井住友銀行は日本を代表する銀行ですから、大事な意思決定には政府の承認が必要です。別の言い方をするなら、政府から命令されて、5.30%に設定したと考えるべきです。現状ではまだ外貨預金金利を0.01%に据え置いている三菱UFJ銀行やみずほ銀行も近いうちに同様に引き上げるでしょう。
なお、中堅銀行では既に高金利の外貨預金を実施しています。SBI銀行(1年定期 6.00%)、大和ネクスト銀行(5.90%)、ソニー銀行(5.30%)があります。
他行で5%を超える金利を提供している中、0.01%を提供していたら、誰も預金をしてくれません。つまり、今までは、「外貨預金は当行には預けないでください」と言っていたようなものです。外貨預金は規模が小さい上、手間がかかるので、大手銀行は避けてきたのでしょう。
岸田総理が米国に命じられた
方針が変わったのは岸田総理の米国訪問後です。総理は2023年9月19日~21日に国連総会出席のため、NYを訪れました。その際、米国から、「もっと外貨に投資するようにしろ」という指示が下ったものと思います。
この指示のもと、岸田総理は2023年10月6日、総理大臣官邸でグローバル投資家とのラウンドテーブルを実施しました。具体的には、日本側から首相や担当大臣、官房長官ら6名、海外機関投資家16名での会合を開きました。この席には、日本の機関投資家(銀行や保険会社、年金基金)は招待されませんでした。
岸田首相はラウンドテーブルにおいて、「2,100兆円を超える家計金融資産の半分以上を占める預金・現金が投資に向かうように仕向けると述べています。そのための仕掛けが「NISA(少額投資非課税制度)制度の抜本的拡充」だと明言しています。
日本はこれまでも外貨に投資するように命じられてきました。年金がその代表例です。2010年までは年金の70%内外の資産は国内債券でした。これに対して、外貨運用は20%未満でした。GPIFの例を具体的に言うと、2010年には国内債券67%、外国株式11%、外国債券8%でした。
現在では国内債券の比重は25%にまで落としました。代わって、外国債券2が25%、外国株式が25%になっています。外貨投資を命じられた跡が明確にわかります。
米国は近いうちに株価暴落が必至だと考えているのでしょう。それをできるだけ軽微なものに済ませるには、買い手が必要です。そのために、日本人の財産に目をつけたのでしょう。
株価暴落が始まれば、ドルが売られるので、ドル安円高になることは避けられません。5%の金利は高いようですが、円高が7~8円進むだけで、5%のメリットは消えてなくなります。それ以上に円高になれば、為替損が生じ、「日本円の定期預金の方がよかった」と思うようになります。
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