質問: 「通貨下落と政府破綻(国債のデフォルト)は同じ意味」とありますが、第58回の定例通信には、「ロシアは事実上デフォルトした。デフォルト通貨は半減する」とあります。
(1)ロシア政府は破綻していませんので、政府破綻と国債のデフォルトはイコールではないと思っていいのでしょうか?
(2)これが正しいとしますと、「政府が破綻せずとも、事実上国債がデフォルトすると、通貨は半減する可能性が高い」ということになるのでしょうか?
回答:
その通りです。破たんには公式な破たんと非公式な破たん(事実上の破たん)の場合があります。通常は、事実上の破たんと呼ばれるものになるでしょう。
まず、破たんの定義を述べておきましょう。
破たんとは、政府が国債について、
① 金利支払いを小さくする
② 額面を引き下げる
③ 金利や元本の支払期限を繰り延べる
といった策を取る場合を指します。これらは当初の約束と違うのですから、債務不履行と呼ぶべき性格のものです。ただし、金融界ではこれを「事実上の債務不履行(破たん)」と呼ぶようです。非公式の破たんに関する正確な定義はありません。実際に、「もう1円も返さない」と居直るようなケースが「公式の破たん」になると考えてください。返す姿勢があれば、「事実上の破たん」ということになるのでしょう。
2010年代のギリシャのケース、昨今のアルゼンチンのケースは「事実上の破たん」と呼ばれています。
日本の敗戦時も「事実上の破たん」でした。大きなインフレのために、約束通り行われた金利の支払、元本償還は有名無実のレベルでした。ロシアの今回の「事実上の破たんになりそうだった」ケースは、米国が国際決済機関から仲間外れにしたためであり、歴史的にみて例外です。
金融界が「公式な破たん」と言わずに、「事実上の破たん」という言葉を用いるのは、公式という言葉のインパクトが大きいからでしょう。その点から考えると、これから現れるほとんどの政府の破たんは「事実上のもの」となるでしょう。
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