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執筆者の写真ファンクラブ 林則行さん

第3回 投資をカミングアウトできない日本をどう思いますか?

更新日:2022年4月22日

質問

東京の丸の内で仕事をしている30代の男性です。

私は社会人になってすぐ、15年ほど前から株の投資をしています。でも、私のオフィスでは、投資をしていることを言ってはいけない雰囲気があります。LGBTをカミングアウトすることと同じようなリスクをずっと感じています。同じかどうかはわかりませんが。

就業規則で副業は禁止されているのですが、投資は副業ではないと思いますが、違いますでしょうか?

アメリカでは、儲けた人を賞賛すると聞きますが、日本はそういう雰囲気はありません。アメリカでも仕事をなさった林さんは、この日本の状況をどう思いますか?(おかしいと言って下さることを懇願しているようで、すみません)

くだらない質問で恐縮ですが、ご意見をいただければうれしく思います。


回答:

ご期待に沿う回答になるかどうかわかりませんが、ぼくの方針は、「投資をしていることは黙っていたらいい」というものです。


第一線のファンドマネージャーの中には2種類のタイプがいます。生まれつきのギャンブラーで、いつも相場の話をしていたい人と、普段は全く投資話には触れない人です。後者の方が人数が多いような気がします。ぼくは後者です。いつも黙っているので、ぼくが投資の仕事をしていることを知らない人がたくさんいます。


投資の話をしない理由は2つあります。


第一に、どんな分野の話でもそうでしょうが、何か話をすると、自慢が含まれてしまいます。「OO株を買ってOO%上がった」といった具合になります。自慢話は嫌われます。


第二の理由の方がより重要です。ぼくは必要のない時はできうる限り相場から遠ざかっていたいのです。いつも相場の近くにいると考えすぎて、木ばかりを見て森を見ないアプローチになってしまいます。遠ざかった際に、いいアイデアが浮かぶことが多いです。そのためには、普段からできるだけ考えない。


ぼくは毎日金価格を見ています。仕事上、これはどうしても必要です。しかし、自分がたくさん買っているという事実は忘れていて、「そういえば自分も金を買っていたんだっけ。結構儲かっているんだなあ」という思いに浸ることが時々あります。



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