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執筆者の写真ファンクラブ 林則行さん

第54回 金融恐慌が起こると、私たちの暮らしはどうなるのでしょうか?

質問

金融恐慌が起きると、私たちの暮らしはどのような状況になるのでしょうか?経験したことがないので想像できません。



回答:

金融恐慌の惨状については拙著『世界が大不況でも資産が増やせるって本当ですか?』の中では簡単に述べるに留めました。「失業率20%、インフレ率20%、給与実質半減、個人資産半減」と書きました。これだけでは実感が湧かない人が多いと思います。


大不況の話は暗くなりがちなので、できるだけ明るい基調になるようにしました。ここではもう少し具体的に記述しましょう。以下のような光景が取り広げられると思います。


●レストランのゴミ出し時には数十人の人間が押し掛けて残飯をさらう。これは米国の大恐慌時代に起きたことだ。子供食堂だけでなく、大人食堂が各地で開催されるが、毎回定員以上の人が押し掛ける。野草を食べる人が急増、消化が悪く腹をこわす人が続出。


●平均的なサラリーマンの没落が激しい。解雇は日常茶飯事となり、仕事を失った人はただちに貧民と化す。年金だけで暮らす老齢者も同様。仕事がある人でも年収300万円未満の人は平均的な貯蓄額が100万円(中央値)しかないので、インフレで収入と貯蓄が目減りし、暮らしが成り立たなくなる。大恐慌時代のように、3家族がひとつの住居に同居する光景が珍しくなくなる。出費を抑えるため、冷暖房は使えない。(統計:金融広報中央委員会)


●経済苦から自殺が増加。現在の10万人あたり23人(男性)から景気最悪期(2003年)の38人を超え、史上最高を更新へ。一般に、うつ病患者は生活苦の激しい途上国ほど大きく、ウガンダでは6.7%だ。日本(現在人口当たり2.3%)もアフリカの最貧国並みへと増加するだろう。(統計:世界銀行、厚生労働省)


●消費は停滞。ファーストフード以外の外食、居酒屋はすたれ、生活に必要のない出費(例:旅行、観劇、イベント参加)は激減。新宿、渋谷、池袋といった東京の大繁華街の人通りはなくなる。2020年春の、コロナの自粛要請で店が閉店となった時期のよう。


●少女は家計を助ける目的で売春に走る。親は見てみないふり。給食費が払えない家庭の子供は昼は食事の出ない別室で過ごすようになる。


●失業対策や経済的な保護政策が打ち出せない政府は、現在のカリフォルニア州のように、経済苦からの小犯罪は見逃す傾向となる。(そうでないと、暴動が起きる。)そのため、強盗、窃盗はますます増える。犯罪率は過去最高へ。10万人あたりの強盗発生件数は現在の2件未満から終戦直後の14件を超えて、さらに大きくなる。女性は夜は外を歩けない状態に。自動販売機は破壊され、お金は盗まれる。(統計:wikipedia日本の犯罪と治安)


●都心は貧乏人がスラム街を形成。公園や遊歩道、公民館、図書館には失業者がたむろするようになり、悪臭がただようようになる。ペット犬が飼えなくなる人が増え、街に野犬が増加。


●街の公衆トイレはメンテナンスが途切れ、使用不可の状態に。道もメンテナンスがなくなり、穴だらけになる。中国のように、マンホールの蓋を盗む人が続出し、下を向いて歩かないと危険な状態となる。


●医療機関は救急車で搬送された患者でも支払いできることが治療の前提条件となる。


●誰もがお金に苦労する時代となり、お金がないことは恥ではなくなる。大恐慌時代の米国がそうだった。


読者の皆さんに恐怖心を引き起こすのがぼくの狙いではありません。それでも忘れてほしくないことは、金融恐慌とは大変な事態だということです。


自然災害(例:大型台風)が来たらどうするのか?身の安全を確保するでしょう。それが第一優先であり、それ以外のことは考えないでしょう。

経済恐慌でも同じです。まずは自分の資産を守ることに集中してください。ゴールドに換えておけば、資産の安全が保たれるだけでなく、価値が大きく膨らみます。一般の人はそこまでにしておくのが賢明でしょう。


一方、ぼくのところに寄せられる数多くの質問には、「恐慌期、金融危機時には、ゴールド以外にどうやったら儲けを拡大できるのか?」というものが多いです。


確かに、危機の際には、株価や商品価格、為替が乱高下します。それは大きな儲けのチャンスにもなりますが、逆に資産を失うことにもなりかねません。


最優先は資産の安全確保ですが、そうした時期に安全な資産逃避先が現れた場合は、ファンクラブの皆さんにお伝えするようにします。

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