質問:米国の景気動向を象徴する最新の動きを教えて下さい。
回答:
米国では旅行需要が減退しています。旅行は日用品と違ってカットしやすい支出です。米国経済全般に暗雲が立ち込め始めたと言えます。
解説
景気が悪くなってきた時に、人々が最初にカットするのは、贅沢(ぜいたく)消費と言われるものです。その代表が旅行です。旅行はしなくても問題ないですから、野菜やトイレットペーパーと違い、景気に敏感に反応します。
米国の旅行需要は減速傾向にあります。これはハイアット(ホテル)やディズニーといった企業の決算報告資料にも描かれています。今日はその中で、エアービーアンドビーを取り上げましょう。
Airbnb, Inc.(エアビーアンドビー)は、サンフランシスコに拠点を置くアメリカのバケーションレンタル(民泊)の通販企業です。通称「エアビー」です。この企業を取り上げた理由は、世界最大であることと、大型ホテル以上に個人利用が多いことです。つまり、庶民の利用が中心なため、景気の動きをいち早く察知します。
図表1に株価を示しました。最近株価が急落していることがわかります。直近の高値は2024年3月ですから、NYの株価上昇局面(天井:2024年7月)においても、既に下げ始めていたことがわかります。
しかも、最近の高値は170ドルに届かず、上場来高値の約220ドルからはかなり低位になっています。
実際、収益を調べてみると、2023年第4四半期から減益が始まりました。図表2です。2024年第1四半期は増益に戻りましたが、直近の第2四半期は再び減益となっています。
これらが示唆するところは、旅行需要が本質的に減退期に入っており、近い将来に復活する見込みが小さいことです。NY株価指数の天井が近づいていることを暗示していると考えてください。
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