質問
WIZを楽しく拝読させていただいている男性会員です。
私は1年前から純金積立をしています。
この1年で儲けから手数料分を引いても、10%のプラスです。
銀行預金のままでしたら、ほぼ0%でした。
これも林先生のおかげだと思っています。
ありがとうございます。
質問させていただきます。
株の大暴落には5つの前兆(要素)があり、いま4つの前兆が赤信号で、最後の1つの前兆(ジャンク債青)の信号が赤に変わると起こる、という認識でいます。
このことと同じように、国債のデフォルト(通貨)危機の前兆(要素)には何があるか教えていただけませんでしょうか。
ただ、今回のロシアのような有事ではない状況で推移したとして、という前提のもとで教えていただければ幸いです。
回答:
国債のデフォルト(=政府の破たん)が起きる前に、次の3つのことが起きると考えます。
① NYダウ株価が2万ドルを割る(現在34,000ドル)
② 為替が1ドル100円以下になる(現在130円)
③ 米国長期金利が7%以上になる。(現在2.9%)
特に3番目が重要です。欧州金融危機においては、ギリシャは長期金利が7%を超えてから、危機が本格化してしまいました、一方、イタリアはぎりぎり7%で収めることができ、危機を回避できました。市場では7%が分岐点だと考えられているのです。
これから来る経済危機は米国が中心です。21世紀に入ってからの危機の代表はITバブル崩壊、リーマンショックで、両者とも米国発です。これから来る危機の最終段階では「米国債の利払いができなくなりそうだ」という噂が広まるでしょう。株価が大幅に下がるとそのような噂が絶えなくなります。それがいつかは本物になってしまうという感じです。
金価格はデフォルト後に2倍になる
その時に金価格はどうなるか?
デフォルトの発表から大幅に上がっていくでしょう。イメージですが、2倍になると思います。つまり、デフォルト発表の前日の金価格が3500ドルだとしたら、デフォルト後は最高7000ドルまで上昇するという感じです。
「だとしたら、デフォルトが近くなったら、金を買う(買い増す)のがいいのではないか」と思うかもしれません。これは正しくない発想です。今のうちに買うのがベストです。
何故か?
デフォルトが近くなって来るということは、台風で言えば、上陸を前にして風が大きく吹き荒れる状況にあるということです。株価暴落、金利上昇のスピードがそれまで以上のペースになっているはずです。そうした事態を迎え、米国はデフォルト回避に向けて、なりふり構わない戦略に出ている可能性が高いです。
そのひとつが、金市場の閉鎖です。政府の役人は金融市場の動きがわかっていませんから、「市場が閉じていれば、パニックになって売る人がなくなるだろう。人々が落ち着いた頃市場を再開すれば、大幅高にはならなくて済むだろう」と考えるかもしれません。市場が閉鎖されてしまえば、値段が不明確になり、人は取引をしなくなります。金が買えない事態になります。
ただし、これは馬鹿な政策です。中国で失敗済みです。2007~08年のこと、中国は株価が下がらないようにと10回以上も取引所を閉鎖しました。人々は、「取引所が閉まるほどやばいのか?」と思ってパニックが増大し、逆効果となって市場は大きく下がりました。具体的には2007年10月の高値6124ポイントから08年10月の1728ポイントまで71%下落してしまいました。
米国も似たような失敗をするかもしれません。
その期間は金は売れるのか?もちろん売れません。
事態が落ち着けば、市場は開くでしょう。そこで売ればいいのです。その際は、価格が毎日急上昇を続けます。
市場が再開した場合、買えるようなレベルではないでしょう。ということで、今からゆっくり買っていくのが最善です。
すばらしいご質問をしていただきました。又、先生のご回答は何度も読み暗記しいざという時の直感になるように、と受け止めさせていただきます。ありがとうございます🐟