質問:
米国経済の統計は毎月いろいろなものが発表されています。その中で現在、懸念すべきものがありますでしょうか?
回答:
失業率が最重要の統計です。その悪化が最も懸念されるものです。
解説:
経済の根幹は人々が暮らしていけることです。そのためには、働きたい人に仕事が提供される必要があります。つまり、国家の経済上の最重要課題は失業率を低くとどめておくことになります。
しかし、米国の失業率は悪化の方向を歩んでいます。図表1には最近の失業率の推移を記しました。5月には4.0%を記録し、6月には4.1%を記録しました。2023年1月には最低の3.4%にまで改善した失業率は高くなる方向に進んでいます。それは図表2の長期の失業率のグラフ(逆メモリ、下に行くほど失業率が高くなる)を見ても一目瞭然です。
図表2は失業率と米国株価との関係を示したグラフです。失業率が上がると株価が下がる傾向がわかります。ただし、失業率のピークの月と株価のピークの月とが一致するわけではありません。どちらかが早くなったり、遅くなったりします。
現状では株価に対して失業率が先に悪化しています。このことからわかることは、近い将来、株価も下げ基調に入ると考えられることです。図表2をよく見てみると、株価と失業率のピークの差異が半年以上になることも珍しくありません。こうしたことから、NYダウの高値が来年になることは十分に想定できます。
失業率が4%を超えたことは、株式市場への注目すべき重要なサインと想定しています。
近いうちに何か起こりそうな予感があります。