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第109回 国債の大半を国内で持っている日本はデフォルトしないのではないでしょうか?

  • 執筆者の写真: ファンクラブ 林則行さん
    ファンクラブ 林則行さん
  • 2023年12月30日
  • 読了時間: 3分

質問:

日本の国債は日本人(日銀、民間銀行、保険、年金)が大半を持っています。金融恐慌が来てもそうした機関投資家は国債を売らないでしょうから、金利が上がらず、政府は金利負担を続けることができるのではないでしょうか?その場合、デフォルトは起きないと思うのですが、林さんはどう考えますか?

 

回答:

日本が鎖国している場合は、そうしたことが起きるかもしれませんが、現代社会は一国で起きたことが一瞬で他国に飛び火する時代です。米国がデフォルトになれば、日本も同様の状況に陥ることになるでしょう。

 

解説:

日本の金利が上がるのは先進各国が上がるから

ご質問の方が指摘しているように、日本の国債保有は国内の機関投資家がほとんどです。

日本の国債(1214兆円)保有率

日銀                         45%

生損保                     17%

銀行                         16%

年金                        6%

国内機関投資家計     84%

海外                         14%

個人                        2%

 

この中で、金融危機時に日本の国債を積極的に売り込むのは海外勢と個人でしょう。全体では16%に過ぎません。84%が売らないのであれば、価格が下がらない(=金利が上がらない)と考えるのは無理もありません。

 

ところが、日本の金利は世界の金利と同じように動きます。経済が連動いているので、景気や株価、金利は同一の方向に動くことが多いです。特に金利は相関性が高いです。図1を見ればわかるように、先進国の金利は同一方向に動いているのがわかります。




 

経済の連動性の深さを示す別の例を示しましょう。

図2はインドネシアの株価を示したものです。注目は2008年の暴落期です。インドネシアは2004年12月に、史上最大級の地震に見舞われ、一瞬にして13万人が死亡しました。関東大震災以上の死者数です。しかし、その直後ですら、株価は下がりませんでした。




 

にもかかわらず、対岸の火事のような米国の金融恐慌時(リーマンショック時)には米国以上に株価暴落が起きてしまいました。米国の不景気の怖さが株価を押し下げたのです。

 

世界が厳しい局面を迎えた場合、「日本だけ安泰だ」ということはあえりません。

 

 

米国が一番危ない理由

デフォルトの危険性が最も高い先進国はどこかと聞かれれば、それは米国です。「米国は借金比率(国債残高をGDPで割った比率)が日本より低いのではなかったのか」と聞かれれば、その通りです。しかし、米国のデフォルトリスクの高さは国債残高が理由ではありません。

 

ドルは基軸通貨と呼ばれています。そのため、世界の多くの人々がドルで資産を築いています。アフリカの政情不安の厳しい国では、自国通貨は信用されず、庶民に至るまでドルで自分の資産を形成しています。

 

また、犯罪組織や大金持ちたちも自国の政府に拘束されないようにドル資金を蓄えているはずです。こうしたドルでの資金は世界各国で150兆ドルあると言われています。

 

株価が暴落を始め、ドルの信用が低下し始めると、ドルを売ろうとする圧力が高まります。米国のマネーは21兆ドルなので、この7倍以上もの売り圧力が存在することになります。

 

どうしてこんなにドル資金が膨らんでいるのか?それは為替市場で簡単に自国通貨をドルに変換できるからです。

 

ドル資産の多くは債券の形で保有されていますから、ドル売りと債券売りが同時に発生するでしょう。このため米国金利は今までに見たこともないようなレベルにまで高騰するでしょう。

 

ドルは世界の通貨の平均値に対して、1971年の変動相場制開始以来、最高で4割下落しました。リーマンショックの最中でした。この安値をさらに大きく割り込むことになるでしょう。日本円で言えば、1ドル80円台はもとより、さらにドル安が進むでしょう。

 

 

 

 

 

 
 
 

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